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【IKEUCHI ORGANIC × RETO】特別に、コラボタオルの設計図を見せてもらいました
Text: yuki yoshida 建物を建てるときに設計図が必要なように、タオルにも設計図がある……ということを、知りませんでした。IKEUCHI ORGANIC × RETOのコラボタオルも例外なく、設計図がなければ完成していません。 設計図には、つくり手の想いが込められている こちらが、今回のコラボタオル「IKEUCHI ORGANIC × RETO スポーツタオル」の設計図。 「どんなタオルをつくるか」がまとめられた設計図には、神野大地がどんなタオルを望んだか?が詰まっています。ただ、ご覧のとおり、素人が見ただけでは何が何だか分かりません。 今回は、コラボタオルの設計案を担当されているIKEUCHI ORGANICの池内計司代表と神野大地に、コラボタオルの設計図ができるまでにどんなやりとりがあったのかを聞きました。 全部で54万6000通り。設計に“らしさ”が表れる ── 設計というお仕事について教えてください。 池内計司代表(以下、池内):タオルは設計をして、最終的には織機というもので織っていきます。織機は基本的にはコンピューターで動いているので、コンピューターのデータを送り込まないといけません。そのデータが設計図です。 コンピューターのデータに関しては、僕みたいなアバウトな人間だとうまくいかないので(笑)、矢野という設計担当者がきっちり落とし込んで工場に正確に伝えるという感じでやっています。 ── 企画や設計案は池内代表が、細かいところは矢野さんが、というイメージでしょうか? 池内:そうです。僕はわりと、生産性の良し悪しなどを度外視して、最終的にお客さんが喜んでくれそうなものを設計します。けど、工場サイドはそういうわけにはいかなくて。矢野は大体工場の責任者と私の間に挟まって非常にツラい思いをしているという……(笑)。 ── 設計の要素は糸の太さやパイルの長さになるのでしょうか。どうやってタオルごとの違いを出していくのか教えていただけますか? 池内:タオルには、お客さんが実際に触るパイルといわれるものと、表からは見えないけれど下に隠れている縦糸横糸があります。縦糸方向の密度、横糸方向の密度、それとパイルの長さなど、タオルとして実際にありそうなところを掛け算していくと大体54万6000通りくらいあるんです。 それで、IKEUCHI ORGANICは、タオルの風合いの基本パターンでいうと10〜15種類にしぼっています。54万6000通りのどこをチョイスするかというのは、その会社の設計者の考えみたいなところでチョイスしているわけで、それによってタオルは大きく変わります。 だから、その10〜15くらいの種類が、IKEUCHI...
【IKEUCHI ORGANIC × RETO】特別に、コラボタオルの設計図を見せてもらいました
Text: yuki yoshida 建物を建てるときに設計図が必要なように、タオルにも設計図がある……ということを、知りませんでした。IKEUCHI ORGANIC × RETOのコラボタオルも例外なく、設計図がなければ完成していません。 設計図には、つくり手の想いが込められている こちらが、今回のコラボタオル「IKEUCHI ORGANIC × RETO スポーツタオル」の設計図。 「どんなタオルをつくるか」がまとめられた設計図には、神野大地がどんなタオルを望んだか?が詰まっています。ただ、ご覧のとおり、素人が見ただけでは何が何だか分かりません。 今回は、コラボタオルの設計案を担当されているIKEUCHI ORGANICの池内計司代表と神野大地に、コラボタオルの設計図ができるまでにどんなやりとりがあったのかを聞きました。 全部で54万6000通り。設計に“らしさ”が表れる ── 設計というお仕事について教えてください。 池内計司代表(以下、池内):タオルは設計をして、最終的には織機というもので織っていきます。織機は基本的にはコンピューターで動いているので、コンピューターのデータを送り込まないといけません。そのデータが設計図です。 コンピューターのデータに関しては、僕みたいなアバウトな人間だとうまくいかないので(笑)、矢野という設計担当者がきっちり落とし込んで工場に正確に伝えるという感じでやっています。 ── 企画や設計案は池内代表が、細かいところは矢野さんが、というイメージでしょうか? 池内:そうです。僕はわりと、生産性の良し悪しなどを度外視して、最終的にお客さんが喜んでくれそうなものを設計します。けど、工場サイドはそういうわけにはいかなくて。矢野は大体工場の責任者と私の間に挟まって非常にツラい思いをしているという……(笑)。 ── 設計の要素は糸の太さやパイルの長さになるのでしょうか。どうやってタオルごとの違いを出していくのか教えていただけますか? 池内:タオルには、お客さんが実際に触るパイルといわれるものと、表からは見えないけれど下に隠れている縦糸横糸があります。縦糸方向の密度、横糸方向の密度、それとパイルの長さなど、タオルとして実際にありそうなところを掛け算していくと大体54万6000通りくらいあるんです。 それで、IKEUCHI ORGANICは、タオルの風合いの基本パターンでいうと10〜15種類にしぼっています。54万6000通りのどこをチョイスするかというのは、その会社の設計者の考えみたいなところでチョイスしているわけで、それによってタオルは大きく変わります。 だから、その10〜15くらいの種類が、IKEUCHI...
すべては「IKEUCHI ORGANICが好きだから」。スポーツタオルでのコラボが叶った理由
Text: yuki yoshida 「たぶん『好きです』みたいなことしか伝えてないかもしれないです(笑)」と柔らかい笑顔で話すのは、RETO事業の責任者であり、神野大地のマネジメントを務める高木聖也。 RETOとIKEUCHI ORGANICのコラボタオル「IKEUCHI ORGANIC × RETO スポーツタオル」を企画・開発するにあたって、今回は、高木から神野に“IKEUCHI ORGANICがどんなにいいか”をプレゼン。神野も、自宅でIKEUCHI ORGANICのアイテムを愛用するくらい今ではすっかりファンになっていますが、コラボをするにあたって、二人の間でどんなコミュニケーションがあったのでしょうか。 プロランナーの神野大地とRETO事業の責任者である高木聖也が、たっぷりと、IKEUCHI ORGANICへの愛を語っています。 なんで、IKEUCHI ORGANICだったのか? ── 今回なぜ、IKEUCHI ORGANICとコラボしたいと思ったのでしょうか。 高木聖也(以下、高木):僕がIKEUCHI ORGANICのファンで。本当に、ものがすごくよくて、基本的にはそこがすべてです。あとは、メディアの発信でより好きになっていったというのがリアルなところで、WEBメディア「イケウチな人たち。」やnoteなどの読み物からこだわりが見えてくるのがいいなと思っていました。 実際に広報の牟田口さんとやりとりさせていただいても、「自分の周りのアスリートに提供できますよ」といった話をしたら、そこにも結構条件があって。「ぜひ使ってください」という感じでただ商品を提供するのではなくて、「このタオルを本当にいいと思ってくれる方じゃないと……」と言われて、そういうところが逆にすごくいいなと感じたのもあります。 ── 高木さんがIKEUCHI ORGANICのファンになったのは、美容師の方のnoteがきっかけだったとか。普段から、人の勧めに耳を傾けるタイプなんでしょうか?その発信を見て、どうして使ってみようと思ったのですか? 高木:結構前のことなので鮮明には覚えていないのですが、IKEUCHI ORGANICのことは、牟田口さんの発信や共通の知人のSNSを通してなんとなく知っていました。それで、自分のタイムラインに流れてきた記事を読んで、買ってみたいと思いました。それはたぶん、noteの文章が響いたというのもあったと思いますが、そんなに深く考えずに買ったという感じです。そういうことがよくあるかというと、普段はそんなにないです。 ── IKEUCHI ORGANICを潜在的に知っていて、タイミングが合って購入に至ったということですね。...
すべては「IKEUCHI ORGANICが好きだから」。スポーツタオルでのコラボが叶った理由
Text: yuki yoshida 「たぶん『好きです』みたいなことしか伝えてないかもしれないです(笑)」と柔らかい笑顔で話すのは、RETO事業の責任者であり、神野大地のマネジメントを務める高木聖也。 RETOとIKEUCHI ORGANICのコラボタオル「IKEUCHI ORGANIC × RETO スポーツタオル」を企画・開発するにあたって、今回は、高木から神野に“IKEUCHI ORGANICがどんなにいいか”をプレゼン。神野も、自宅でIKEUCHI ORGANICのアイテムを愛用するくらい今ではすっかりファンになっていますが、コラボをするにあたって、二人の間でどんなコミュニケーションがあったのでしょうか。 プロランナーの神野大地とRETO事業の責任者である高木聖也が、たっぷりと、IKEUCHI ORGANICへの愛を語っています。 なんで、IKEUCHI ORGANICだったのか? ── 今回なぜ、IKEUCHI ORGANICとコラボしたいと思ったのでしょうか。 高木聖也(以下、高木):僕がIKEUCHI ORGANICのファンで。本当に、ものがすごくよくて、基本的にはそこがすべてです。あとは、メディアの発信でより好きになっていったというのがリアルなところで、WEBメディア「イケウチな人たち。」やnoteなどの読み物からこだわりが見えてくるのがいいなと思っていました。 実際に広報の牟田口さんとやりとりさせていただいても、「自分の周りのアスリートに提供できますよ」といった話をしたら、そこにも結構条件があって。「ぜひ使ってください」という感じでただ商品を提供するのではなくて、「このタオルを本当にいいと思ってくれる方じゃないと……」と言われて、そういうところが逆にすごくいいなと感じたのもあります。 ── 高木さんがIKEUCHI ORGANICのファンになったのは、美容師の方のnoteがきっかけだったとか。普段から、人の勧めに耳を傾けるタイプなんでしょうか?その発信を見て、どうして使ってみようと思ったのですか? 高木:結構前のことなので鮮明には覚えていないのですが、IKEUCHI ORGANICのことは、牟田口さんの発信や共通の知人のSNSを通してなんとなく知っていました。それで、自分のタイムラインに流れてきた記事を読んで、買ってみたいと思いました。それはたぶん、noteの文章が響いたというのもあったと思いますが、そんなに深く考えずに買ったという感じです。そういうことがよくあるかというと、普段はそんなにないです。 ── IKEUCHI ORGANICを潜在的に知っていて、タイミングが合って購入に至ったということですね。...
職人の感性が「一番の履き心地」を生み出している ──神野大地×靴下老舗メーカー社長対談(後編)
Text: yuki yoshida 2022年4月、神野大地が手がけるブランド「RETO(レト)」からランニングソックスが販売スタート。同商品は、日本三大靴下産地である兵庫県加古川市に自社工場を構えるUNIVAL(株式会社ユニバル)と共同開発し、約1年かけて完成した。 2月には実際に兵庫県加古川市にある工場を見学。本記事では、工場見学後にUNIVALの横山社長と神野が行った対談を公開する。 後編では、普段あまり知る機会がない靴下製造の“中の話”に触れていく。横山社長のこだわりやものづくりにかける想いを垣間見ることができるだろう。 ランニングには、ランニングに一番適した靴下を 神野:お話を聞いていると、靴下ってとても繊細ですよね。作るのにも時間がかかっていたり、そんなに高い商品ではなかったりがあると思うんですけど、どうして靴下にこだわり続けているのかっていうのは何か理由がありますか? 横山:そうですねー。うちの会社は製造も踏まえますと56年目に入っていて、創始者がうちの父で、私が二代目っていう形でやらせていただいてます。 兵庫県の加古川市の地場産業として靴下の製造があります。これは私もうちの父から聞いたんですけど、加古川市の志方町っていうところは昔綿花を栽培してたところで、そういう繋がりで靴下っていうのがこの地に生まれました。もっと古くからいうと、ある方が中国から編み機を1台持って帰ってきて、ここで育った綿花を紡いで靴下を作ったっていうのが最初だと聞いたことがあります。 私も「どうして靴下を?」って言われたら、正直なところ、父から継承しながらやってきたというところなんですが。同じように作ろうとしても職人が違うと同じものができないだとか、同じ機械を使っても職人によっては違うものができるだとか、そういうのも楽しみで、深掘りしていくともっと面白いことができるんじゃないかなっていうのはありまして。そういうのが、長年続けている理由かもしれません。 僕らは、健康は足元からって言っていて。足をサポートするっていうのは当然靴ですけど、そのなかに靴下っていうのがあって、みなさんが健康に明るく生活できるためのひとつのものだと思っています。もっともっと良いものを開発して、もっとみなさんに愛されるようなものを作れないかな?という想いがあるから継続してるような感じだと思ってます。 神野:本当に色んな靴下があって、それこそ100円で買えるような靴下も出てきてるじゃないですか。さっき健康は足元からっていう話がありましたけど、僕は高校生のときは靴下へのこだわりは持ってなかったんですけど、色々経験したなかで、靴下はパフォーマンス向上にも繋がるし、みなさんにもっと重要視してほしい部分だなって感じてるところです。この対談を見てくださってる方には、「RETO × IDATEN」が一味違う靴下だというのを感じてもらいたいなって思います! そういえば、さっきUNIVALさんのほかの商品をいただいて、さっそく今履いてるんですけど、これもすごく履きやすいですね。 横山:ありがとうございます。今神野さんに履いてもらってる「寒がり靴下職人が作ったソックス」というのはうちの商品で一番あったかい靴下なんですよ。 冬は暖かい、夏は涼しい、運動のときは汗を吸って、という風に、靴下を履くにも色んなシーンがありますよね。季節もそうですし、履くシーンを色々想定したなかで、それに一番適したものは何なのかを考えてまして。「RETO × IDATEN」に関してはランニングに適してる、「寒がり靴下職人が作ったソックス」に関しては寒さに適してる、シーンごとの一番の履き心地にこだわっています。 神野:それぞれのニーズに合ったものをっていうことですね。 横山:そうですね!ニーズに合ったものを一番良い価格でご提供できればと、そういう想いで作っています。 靴下=人海戦術 自慢の靴下には職人技が詰まっている 横山:最後に、私のほうから神野さんに1つ質問させてください。 今日、兵庫県加古川市のほうにわざわざ来てもらって。1年前から神野さんとやりとりさせてもらって、コロナ禍でなかなか会えなくてリモートばかりで、サンプルを送り込んでフィードバックをもらってっていうやりとりをずーっとやってきたなかで、今日こうやってわざわざお越しいただいて、うちの工場でどうやって靴下ができるのかっていうのを見ていただけたのがメーカー側としてはすごく嬉しいです。 商品ができあがったタイミングというのもあられると思うんですが、なぜ来ていただけたのかな?と、興味津々です。 神野:はい、これまでずっと競技で陸上をやってきて色んな靴下を履いてきたんですけど、どうやって靴下が作られてるかってところに興味を持ったことがなかったんですよ。でも、今回自分のブランドの「RETO」っていうところで商品を発売させていただくっていうことで、靴下がどうやって作られてるのかっていうところに単純に興味を持ちまして、見せていただけるのであれば見たいなと思いました。 やっぱり実際に見せてもらうと想像を超えてるというか。機械も自分では絶対に扱えなさそうな、見たことないようなもので。やっぱり自分で見るっていうのは大事な時間だったなという風に思いました。 あの機械、本当にすごいですよね……。 横山:うちの工場には技術者が今4人いて、みんな15年から20年、長い人は30年くらいのベテランの方たちばかりです。...
職人の感性が「一番の履き心地」を生み出している ──神野大地×靴下老舗メーカー社長対談(後編)
Text: yuki yoshida 2022年4月、神野大地が手がけるブランド「RETO(レト)」からランニングソックスが販売スタート。同商品は、日本三大靴下産地である兵庫県加古川市に自社工場を構えるUNIVAL(株式会社ユニバル)と共同開発し、約1年かけて完成した。 2月には実際に兵庫県加古川市にある工場を見学。本記事では、工場見学後にUNIVALの横山社長と神野が行った対談を公開する。 後編では、普段あまり知る機会がない靴下製造の“中の話”に触れていく。横山社長のこだわりやものづくりにかける想いを垣間見ることができるだろう。 ランニングには、ランニングに一番適した靴下を 神野:お話を聞いていると、靴下ってとても繊細ですよね。作るのにも時間がかかっていたり、そんなに高い商品ではなかったりがあると思うんですけど、どうして靴下にこだわり続けているのかっていうのは何か理由がありますか? 横山:そうですねー。うちの会社は製造も踏まえますと56年目に入っていて、創始者がうちの父で、私が二代目っていう形でやらせていただいてます。 兵庫県の加古川市の地場産業として靴下の製造があります。これは私もうちの父から聞いたんですけど、加古川市の志方町っていうところは昔綿花を栽培してたところで、そういう繋がりで靴下っていうのがこの地に生まれました。もっと古くからいうと、ある方が中国から編み機を1台持って帰ってきて、ここで育った綿花を紡いで靴下を作ったっていうのが最初だと聞いたことがあります。 私も「どうして靴下を?」って言われたら、正直なところ、父から継承しながらやってきたというところなんですが。同じように作ろうとしても職人が違うと同じものができないだとか、同じ機械を使っても職人によっては違うものができるだとか、そういうのも楽しみで、深掘りしていくともっと面白いことができるんじゃないかなっていうのはありまして。そういうのが、長年続けている理由かもしれません。 僕らは、健康は足元からって言っていて。足をサポートするっていうのは当然靴ですけど、そのなかに靴下っていうのがあって、みなさんが健康に明るく生活できるためのひとつのものだと思っています。もっともっと良いものを開発して、もっとみなさんに愛されるようなものを作れないかな?という想いがあるから継続してるような感じだと思ってます。 神野:本当に色んな靴下があって、それこそ100円で買えるような靴下も出てきてるじゃないですか。さっき健康は足元からっていう話がありましたけど、僕は高校生のときは靴下へのこだわりは持ってなかったんですけど、色々経験したなかで、靴下はパフォーマンス向上にも繋がるし、みなさんにもっと重要視してほしい部分だなって感じてるところです。この対談を見てくださってる方には、「RETO × IDATEN」が一味違う靴下だというのを感じてもらいたいなって思います! そういえば、さっきUNIVALさんのほかの商品をいただいて、さっそく今履いてるんですけど、これもすごく履きやすいですね。 横山:ありがとうございます。今神野さんに履いてもらってる「寒がり靴下職人が作ったソックス」というのはうちの商品で一番あったかい靴下なんですよ。 冬は暖かい、夏は涼しい、運動のときは汗を吸って、という風に、靴下を履くにも色んなシーンがありますよね。季節もそうですし、履くシーンを色々想定したなかで、それに一番適したものは何なのかを考えてまして。「RETO × IDATEN」に関してはランニングに適してる、「寒がり靴下職人が作ったソックス」に関しては寒さに適してる、シーンごとの一番の履き心地にこだわっています。 神野:それぞれのニーズに合ったものをっていうことですね。 横山:そうですね!ニーズに合ったものを一番良い価格でご提供できればと、そういう想いで作っています。 靴下=人海戦術 自慢の靴下には職人技が詰まっている 横山:最後に、私のほうから神野さんに1つ質問させてください。 今日、兵庫県加古川市のほうにわざわざ来てもらって。1年前から神野さんとやりとりさせてもらって、コロナ禍でなかなか会えなくてリモートばかりで、サンプルを送り込んでフィードバックをもらってっていうやりとりをずーっとやってきたなかで、今日こうやってわざわざお越しいただいて、うちの工場でどうやって靴下ができるのかっていうのを見ていただけたのがメーカー側としてはすごく嬉しいです。 商品ができあがったタイミングというのもあられると思うんですが、なぜ来ていただけたのかな?と、興味津々です。 神野:はい、これまでずっと競技で陸上をやってきて色んな靴下を履いてきたんですけど、どうやって靴下が作られてるかってところに興味を持ったことがなかったんですよ。でも、今回自分のブランドの「RETO」っていうところで商品を発売させていただくっていうことで、靴下がどうやって作られてるのかっていうところに単純に興味を持ちまして、見せていただけるのであれば見たいなと思いました。 やっぱり実際に見せてもらうと想像を超えてるというか。機械も自分では絶対に扱えなさそうな、見たことないようなもので。やっぱり自分で見るっていうのは大事な時間だったなという風に思いました。 あの機械、本当にすごいですよね……。 横山:うちの工場には技術者が今4人いて、みんな15年から20年、長い人は30年くらいのベテランの方たちばかりです。...
「RETO」に込めた6つのこだわりと開発裏話 ──神野大地×靴下老舗メーカー社長対談(中編)
Text: yuki yoshida 2022年4月、神野大地が手がけるブランド「RETO(レト)」からランニングソックスが販売スタート。同商品は、日本三大靴下産地である兵庫県加古川市に自社工場を構えるUNIVAL(株式会社ユニバル)と共同開発し、約1年かけて完成した。 2月には実際に兵庫県加古川市にある工場を見学。本記事では、工場見学後にUNIVALの横山社長と神野が行った対談を公開する。 中編では、ランニングソックス「RETO × IDATEN」のこだわりポイントについてたっぷり語っている。 「普段もキツい練習の時も同じ靴下がいい」 理想を叶えるソックスが完成 神野:「RETO × IDATEN」の靴下に関しては、1年ほど前から「こうしたほうがいいんじゃないか、ああしたほうがいいんじゃないか」と話し合いを重ねてきました。 「RETO × IDATEN」は、UNIVALさんが販売している「IDATEN」という靴下がベースになっていますが、「IDATEN」のこだわりについて教えてください。 ① できる限り薄くて軽い 横山:開発段階で小林祐梨子さんに試着をしていただいて、改良ポイントを結構いただきました。その際に、ランニングに関しては「できるだけ薄く、軽く作ってください」というアドバイスがありまして。 軽く薄く作るのは強度的にはまずいんです、破れやすくなるんでね。靴下を作るとなるとメーカー側からは逆のことを言われるなあというのがあるんですが、「もう少し薄くできますか?」ということでどんどん改良して、結構軽めの薄手の商品にできあがっています。 ② 特許取得の「ハニカム構造」が生み出す、程よいフィット感 横山:特徴としましては、ハニカム構造というのがあります。従来のテーピングをもう少しランニング寄りにできないかっていうところで開発を進めたものです。ハニカム構造は六角形の集合体になっていて、この六角形の集合体でテーピングを実現しています。 ハニカムっていうのは蜂の巣という意味です。蜂の巣は六角形の集合体でできていて、踏んづけられても復活して膨れあがってくるんですよ。外敵にいくら圧力をかけられても卵を守る、そんなような構造です。 六角形の集合体は、構造上圧力に強く、外敵に強い形と言われていて、おもだっては航空機の一部や建築関係の柱に使われています。調べると色々六角形が出てくるんですね。 うちの元々あるテーピングというのはこういう六角形ではなくて、締め付ける形になってるんですけど、六角形にすることによって6つの方向から圧力をかけて、満遍なく足に圧力がかかります。どこからの角度でも同じような圧力がかかってくるように仕上げたのがこの「IDATEN」なんですよ。 よくあるテーピングソックスっていうのは、みなさん、単に締め付けが強いと感じられることもあるかと思うんですが、この「IDATEN」に関しては、履いてもらうと「あれ、締め付けがあまりないな」という風に思われます。時間が経つにつれて足に沿うように密着するっていう商品なんで、どんな足の形にも必ず合うような構造になってます。 神野:テーピングソックスって、僕もほかのメーカーさんのを履いてたこともあったんですけど、結構締め付けが強いんで、それが気になっちゃう。パフォーマンスとしては上がるって言われるんですけど、でもやっぱり僕は気になっちゃうので、なんか違うなって思うこともありましたし。「RETO × IDATEN」は、「これは本当にテーピングソックス?」っていうくらいスムーズに履けるっていうところと、程よい締め付けが良いですね、僕としては。...
「RETO」に込めた6つのこだわりと開発裏話 ──神野大地×靴下老舗メーカー社長対談(中編)
Text: yuki yoshida 2022年4月、神野大地が手がけるブランド「RETO(レト)」からランニングソックスが販売スタート。同商品は、日本三大靴下産地である兵庫県加古川市に自社工場を構えるUNIVAL(株式会社ユニバル)と共同開発し、約1年かけて完成した。 2月には実際に兵庫県加古川市にある工場を見学。本記事では、工場見学後にUNIVALの横山社長と神野が行った対談を公開する。 中編では、ランニングソックス「RETO × IDATEN」のこだわりポイントについてたっぷり語っている。 「普段もキツい練習の時も同じ靴下がいい」 理想を叶えるソックスが完成 神野:「RETO × IDATEN」の靴下に関しては、1年ほど前から「こうしたほうがいいんじゃないか、ああしたほうがいいんじゃないか」と話し合いを重ねてきました。 「RETO × IDATEN」は、UNIVALさんが販売している「IDATEN」という靴下がベースになっていますが、「IDATEN」のこだわりについて教えてください。 ① できる限り薄くて軽い 横山:開発段階で小林祐梨子さんに試着をしていただいて、改良ポイントを結構いただきました。その際に、ランニングに関しては「できるだけ薄く、軽く作ってください」というアドバイスがありまして。 軽く薄く作るのは強度的にはまずいんです、破れやすくなるんでね。靴下を作るとなるとメーカー側からは逆のことを言われるなあというのがあるんですが、「もう少し薄くできますか?」ということでどんどん改良して、結構軽めの薄手の商品にできあがっています。 ② 特許取得の「ハニカム構造」が生み出す、程よいフィット感 横山:特徴としましては、ハニカム構造というのがあります。従来のテーピングをもう少しランニング寄りにできないかっていうところで開発を進めたものです。ハニカム構造は六角形の集合体になっていて、この六角形の集合体でテーピングを実現しています。 ハニカムっていうのは蜂の巣という意味です。蜂の巣は六角形の集合体でできていて、踏んづけられても復活して膨れあがってくるんですよ。外敵にいくら圧力をかけられても卵を守る、そんなような構造です。 六角形の集合体は、構造上圧力に強く、外敵に強い形と言われていて、おもだっては航空機の一部や建築関係の柱に使われています。調べると色々六角形が出てくるんですね。 うちの元々あるテーピングというのはこういう六角形ではなくて、締め付ける形になってるんですけど、六角形にすることによって6つの方向から圧力をかけて、満遍なく足に圧力がかかります。どこからの角度でも同じような圧力がかかってくるように仕上げたのがこの「IDATEN」なんですよ。 よくあるテーピングソックスっていうのは、みなさん、単に締め付けが強いと感じられることもあるかと思うんですが、この「IDATEN」に関しては、履いてもらうと「あれ、締め付けがあまりないな」という風に思われます。時間が経つにつれて足に沿うように密着するっていう商品なんで、どんな足の形にも必ず合うような構造になってます。 神野:テーピングソックスって、僕もほかのメーカーさんのを履いてたこともあったんですけど、結構締め付けが強いんで、それが気になっちゃう。パフォーマンスとしては上がるって言われるんですけど、でもやっぱり僕は気になっちゃうので、なんか違うなって思うこともありましたし。「RETO × IDATEN」は、「これは本当にテーピングソックス?」っていうくらいスムーズに履けるっていうところと、程よい締め付けが良いですね、僕としては。...
唯一無二のランニングソックス「RETO」はこうやってできた ──神野大地×靴下老舗メーカー社長...
Text: yuki yoshida 2022年4月、神野大地が手がけるブランド「RETO(レト)」からランニングソックスが販売スタート。同商品は、日本三大靴下産地である兵庫県加古川市に自社工場を構えるUNIVAL(株式会社ユニバル)と共同開発し、約1年かけて完成した。 2月には実際に兵庫県加古川市にある工場を見学。本記事では、工場見学後にUNIVALの横山社長と神野が行った対談を公開する。 前編では、今回のコラボ経緯や神野の靴下事情についてざっくばらんに話している。 なぜ、ランニングソックスの開発に挑むのか 神野大地(以下、神野):今日は、横山社長と一緒にUNIVALの靴下のこだわりだったり、僕自身靴下にどんなこだわりを持ってるかだったり、靴下にフォーカスした話をできればなと思います! 横山社長(以下、横山):はじめまして。株式会社ユニバルの代表の横山と申します。 この度コラボさせていただきましたが、神野さんには、もともとうちの「IDATEN」ソックスを履いていただいていたというところがあり。そういう繋がりでうちの社員共々びっくりしたというのが最初でしたね。 神野:今回UNIVALさんとコラボしたきっかけなんですが、僕が去年(2021年)の1月、ちょうど1年前くらいに、コロナ禍ということでなかなかYouTubeの動画を配信できなくて、何かできることがないかなと思って「みんなの質問に答えます」っていうコーナーをやったんですよ。 そしたらその質問にUNIVALさんがコメントをくださって。コメント内容が「靴下は何を履かれているんですか?」というのだったんですよ。 僕、YouTubeとかでも「IDATEN」を履いてるのは出してるんで、(僕が何の靴下を履いているかは)知ってらっしゃると思ってたんですけど、どうやらそうではなくて。単純に、UNIVALさんに「神野選手は靴下にどんなこだわりを持ってますか?」とコメントいただいた形でした。 で、「実はIDATENを履いてます」と返信して、その後担当の方が購入者の履歴を見てみたら僕の名前があって連絡いただいたっていう、そんな感じでしたね。結構レアなケースだとは思うんですけど。 横山:そうですね。 神野:でもそうやって、今一緒に商品を企画できるっていうところまで関係を築かせてもらえたのはすごく嬉しいですし、このコラボ商品をもっと色んな人に知ってもらいたいなという風に思っているので……ありがとうございます! ちなみに、UNIVALさんは、色んな企業さんとかとコラボされていると思うんですが、今回アスリートの僕とコラボしていただいた理由って何ですか? 横山:きっかけに関しては先ほど神野さんからお話が出ましたけど、うちの会社は靴下製造を長年やってきました。特にスポーツに関しては、大手企業さんのものとかを作ったりもしていますけど、自社工場で自社企画しながら何か開発できないかっていうのがあって。 色んなアスリートの方とのお話があるなかで、ランニングに関しては北京オリンピックに出場された小林祐梨子さんに監修をしていただいています。彼女とは数年前にひょんなことから知り合うことができまして、加古川観光大使をされているので「身近に感じますね〜」というところからはじまりました。当時、スポーツソックスのなかでも特にランニング・陸上関係の商品に力を入れていきたいと思っていたところだったので、「一度会社に来て、見ていただけませんか?」とお願いして、そのとき作っていた商品を見ていただいて改良ポイントをいただきました。ほかの方の話も聞いてみたいなという風に、社内ではずっと言っていたんです。 神繋がり!? “たまたま”からはじまった不思議な縁 横山:今回コラボさせていただいた商品が「IDATEN」っていうんですけど、IDATEN(韋駄天)というのは走りの神様で。で、神野さんって山の神。 神野:はい、一応そう言われています(笑)。 横山:三代目でしたっけ。……っていうところで、前から神野さんのことを気にはなっていたんです。でも神野さんにコンタクトをとるなんて、そんなこと考えられなかったですけど……。 韋駄天 → 走りの神様 → 神野さん。しかも、神野さんの「かみ」って、神様の「かみ」ですもんね! 神野:はい、なんか色々ありますね!山の神の「かみ」もあれば神様の「かみ」もあるっていう。 横山:神っていうのはやっぱり、天からの声みたいなところがあるんで。そこらへんも踏まえて、これは何かあるんじゃないか……というのが本音ですね。...
唯一無二のランニングソックス「RETO」はこうやってできた ──神野大地×靴下老舗メーカー社長...
Text: yuki yoshida 2022年4月、神野大地が手がけるブランド「RETO(レト)」からランニングソックスが販売スタート。同商品は、日本三大靴下産地である兵庫県加古川市に自社工場を構えるUNIVAL(株式会社ユニバル)と共同開発し、約1年かけて完成した。 2月には実際に兵庫県加古川市にある工場を見学。本記事では、工場見学後にUNIVALの横山社長と神野が行った対談を公開する。 前編では、今回のコラボ経緯や神野の靴下事情についてざっくばらんに話している。 なぜ、ランニングソックスの開発に挑むのか 神野大地(以下、神野):今日は、横山社長と一緒にUNIVALの靴下のこだわりだったり、僕自身靴下にどんなこだわりを持ってるかだったり、靴下にフォーカスした話をできればなと思います! 横山社長(以下、横山):はじめまして。株式会社ユニバルの代表の横山と申します。 この度コラボさせていただきましたが、神野さんには、もともとうちの「IDATEN」ソックスを履いていただいていたというところがあり。そういう繋がりでうちの社員共々びっくりしたというのが最初でしたね。 神野:今回UNIVALさんとコラボしたきっかけなんですが、僕が去年(2021年)の1月、ちょうど1年前くらいに、コロナ禍ということでなかなかYouTubeの動画を配信できなくて、何かできることがないかなと思って「みんなの質問に答えます」っていうコーナーをやったんですよ。 そしたらその質問にUNIVALさんがコメントをくださって。コメント内容が「靴下は何を履かれているんですか?」というのだったんですよ。 僕、YouTubeとかでも「IDATEN」を履いてるのは出してるんで、(僕が何の靴下を履いているかは)知ってらっしゃると思ってたんですけど、どうやらそうではなくて。単純に、UNIVALさんに「神野選手は靴下にどんなこだわりを持ってますか?」とコメントいただいた形でした。 で、「実はIDATENを履いてます」と返信して、その後担当の方が購入者の履歴を見てみたら僕の名前があって連絡いただいたっていう、そんな感じでしたね。結構レアなケースだとは思うんですけど。 横山:そうですね。 神野:でもそうやって、今一緒に商品を企画できるっていうところまで関係を築かせてもらえたのはすごく嬉しいですし、このコラボ商品をもっと色んな人に知ってもらいたいなという風に思っているので……ありがとうございます! ちなみに、UNIVALさんは、色んな企業さんとかとコラボされていると思うんですが、今回アスリートの僕とコラボしていただいた理由って何ですか? 横山:きっかけに関しては先ほど神野さんからお話が出ましたけど、うちの会社は靴下製造を長年やってきました。特にスポーツに関しては、大手企業さんのものとかを作ったりもしていますけど、自社工場で自社企画しながら何か開発できないかっていうのがあって。 色んなアスリートの方とのお話があるなかで、ランニングに関しては北京オリンピックに出場された小林祐梨子さんに監修をしていただいています。彼女とは数年前にひょんなことから知り合うことができまして、加古川観光大使をされているので「身近に感じますね〜」というところからはじまりました。当時、スポーツソックスのなかでも特にランニング・陸上関係の商品に力を入れていきたいと思っていたところだったので、「一度会社に来て、見ていただけませんか?」とお願いして、そのとき作っていた商品を見ていただいて改良ポイントをいただきました。ほかの方の話も聞いてみたいなという風に、社内ではずっと言っていたんです。 神繋がり!? “たまたま”からはじまった不思議な縁 横山:今回コラボさせていただいた商品が「IDATEN」っていうんですけど、IDATEN(韋駄天)というのは走りの神様で。で、神野さんって山の神。 神野:はい、一応そう言われています(笑)。 横山:三代目でしたっけ。……っていうところで、前から神野さんのことを気にはなっていたんです。でも神野さんにコンタクトをとるなんて、そんなこと考えられなかったですけど……。 韋駄天 → 走りの神様 → 神野さん。しかも、神野さんの「かみ」って、神様の「かみ」ですもんね! 神野:はい、なんか色々ありますね!山の神の「かみ」もあれば神様の「かみ」もあるっていう。 横山:神っていうのはやっぱり、天からの声みたいなところがあるんで。そこらへんも踏まえて、これは何かあるんじゃないか……というのが本音ですね。...